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今回は、松村真宏さんが書かれた「仕掛学 ~人をうご書くアイデアのつくり方~」という本を紹介したいと思います。
著者紹介
名前:松村真宏(まつむら なおひろ)
経歴:大阪大学卒業→東京大学大学院博士課程修了
仕事:大阪大学 准教授(2017年5月現在)
他の書籍
ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義
あらすじ
松村さんが、天王寺動物園に行った際に動物以外の見所を来客者が気づけるように覗きやすい筒を用意していることを発見しました。この筒により、動物を見るという動作以外に行動の選択肢が増えて来客者は喜び、動物園側も動物以外で見せたいものが見せられたことで両方の満足をあげる「仕掛け」に興味を持ち始めました。
この「仕掛け」をそれから色々な場所に出かけるたびに探し始めました。それらの事例をスタンフォード大学の在外研究時にまとめられました。その研究成果の例が掲載されています。
本書の構成としては、以下の形になっています。
- 序章・・・仕掛学の由来や利点について
- 1章・・・良い仕掛けと悪い仕掛けの違い
- 2章・・・仕掛けについて原理や要素の分析
- 3章・・・仕掛けをこれから作る時の発想方法
仕掛学とは?
本書では、問題解決につながる行動を誘うきっかけとなっているものを仕掛けと称しています。
その仕掛けは、良悪があり効果が様々だったため要素を分析し以下の定義にまとめたものが仕掛学とされています。
「仕掛学」で定義している仕掛けは、以下の3要素を持っているものとしています。
- 公平性(Fariness)・・・誰もその仕掛けによって不利益を被らない
- 誘引性(Attractiveness)・・・仕掛けによって行動がついつい誘われる
- 目的の二重性(Duality of purpose)・・・仕掛ける側と仕掛けられる側で目的が異なる
これらの要件の英語での頭文字をとってFAD要件と呼んでいます。
表紙のバスケットゴール型のゴミ箱で仕掛学を説明すると次のようになります。
- 問題・・・ゴミ箱にゴミを入れる人が少ない
- 公平性・・・道端のゴミが減ることでよって誰も不利益を被らない
- 誘引性・・・ついシュートしたくなるため、ゴミを入れたくなる
- 目的の二重性・・・ゴミを減らす(仕掛ける側)とゴミを上手くシュートしたい(仕掛けられる側)で目的が異なる
仕掛ける対象は、自分でも良い
本書では、対象を一般の顧客に向けた店側の仕掛けが多いですが、仕掛ける対象は自分自身にして生活改善を行っても良いかもしれません。
例えば、「朝起きるのがつらい自分に楽しく起きられるようにするには、どのような仕掛けがいいだろうか・・・」と考えると朝ごはんに自分の好きなものを食べるようにセットすることが考えられます。
しかし、大事な点として次の二つの点を気をつけることが必要です。
「仕掛けるための目的がしっかりしていないと効き目が出ない」
目覚めが悪いから、職場に近い場所に引っ越す→朝起きたいという問題の解決になっていない
「問題点と仕掛ける時の魅力の部分の力バランスをしっかりとること」
好きなものよりも寝ることの方が魅力的に見えてしまうと効果がない。
自分へ仕掛けるものついては、自分にとって何が一番魅力的な誘引性なのかを自己分析して、仕掛けを設計することが大事そうです。
本についての感想
良い仕掛けの例を使って仕掛学について説明されているため、ページをめくるごとに「次は、どんな仕掛けが出てくるんだろう!」とワクワクしながら読むことができます。
例となっている仕掛けは、その場所限定ではなく自分が住んでいる場所の近くにもあるかもしれないので読んでいる途中で身近な場所を思い浮かべることもあると思います。
最後には、自分で仕掛けを考えるための発想方法が書いてあり、タイトル通り「人を動かすアイデアのつくり方」を学べる本となっています。
自分の生活改善のために、すごく高い商品やサービスを使わなくても良いんだと改めることができました。
ちょっとした仕掛けで効果が出ることはかなり価値だと思います。